E子さんは57歳で、今はごく普通の専業主婦です。若い頃は上司からも一目置かれるOLで、家事や育児なども両立させ、ファッションやおしゃれなどの流行にも敏感で、明るくユーモアのある女性です。仕事は5年ほど前に辞め、自分の趣味などを楽しんでいました。 ある朝、ベットから起き上がり庭の花を眺めたところ、花や庭を始め家の家具など全てのものが真っ白で霞んで見えました。色はすぐに戻りましたが、不思議な光景にとてもビックリしたと言っていました。その後、ドアや物に引っ掛かって転倒することが多くなり、ご主人も心配するほど頻繁に起こっていました。
それからひと月もしないうちに、まるで目の前にレースカーテンでも引いたように、全てのものが霞んで、ご主人の顔の表情も分からなくなりました。 その時はじめて事の重大さに気づき、ご主人に連れられ近くの眼科を受診(平成21年6月)しました。 その眼科では、「なぜもっと早く受診しないとダメだよ!」と怒鳴られ、設備の整った病院を紹介されました。(すでに症状はかなり進行しており、手の施しようが無かったみたいです。)
転院し、担当医から原因が分からないので、今は治療も投薬も何もできない状態であると告げられました。 その後検査で病名は判明したものの、原因の特定ができていなく、効果的な治療(投薬)ができない状況でした。この間も視力の低下は、もの凄いスピードで進行していました。 そして、あの朝に見た白い花から約3年、両眼全盲という最悪の結果となりました。E子さんはとても明るい性格で、前向きに物事を考えて生活を送っていますが、日常生活や身の回りのことについて、ご主人や地域の方の支援を必要としています。
初診日は、平成21年6月と判断しました。
ご本人、ご主人と面談して現症状などを聴取した時点で、ほぼ間違いなく1級に該当することを説明しました。
そのため、障害年金をさかのぼって請求する様に説明しました。
また、さかのぼって障害年金か決定された時は、ご主人の老齢年金に付加されている奥様の加給金は、さかのぼって返納しなければならない事(それでも障害年金を受給した方が良いことも説明しました。)も合わせて説明しました。
E子さんは、初診日においてご主人の扶養者であり、国民年金の第3号被保険者となっており、直近1年間に未納も無いので納付要件で問題無いと判断しました。
初診日は平成21年6月で、認定日が平成22年12月であるため、認定日請求(さかのぼり請求)が可能ですので、診断書を2部作成することを提案し、障害基礎年金として請求しました。
ご本人とご主人から、現在までの症状や日常生活の状況をヒアリング(約3時間)し、病歴就労申立書を作成。
医師に診断書の作成を依頼して、出来上がるまで約2週間要しました。
また、面談・電話による打ち合わせは、計4回(約5時間程)行い、最初のご相談から年金の申請まで、約1ヶ月半を要しました。
ご相談(初回のご相談は約3時間) 面談により発病から現在までの状況をヒアリング |
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病歴・就労申立書の作成(約1週間で作成) 面談でヒアリングした内容を時系列にまとめ書類を作成 |
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診断書の作成依頼(約2週間を要しました) 医師に作成依頼 |
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他の書類の整備・書類の取得 請求書等の記載と住民票等の取得 |
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年金事務所に請求書の提出 申請後、約1ヶ月半で年金証書が届きました |
年金の申請を行ってから約1ヶ月半で年金証書が届き、障害認定日までさかのぼって障害基礎年金の1級に該当しました。
また、さかのぼって年金が決定されたため、1年11ヶ月分(約180万円)を、一括で受け取ることができました。
眼の障害については、次のとおりです。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 |
両眼の視力の和が0.04以下のもの |
2級 |
両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの 身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 |
両眼の視力の和が0.1以下に減じたもの |
眼の障害は、視力障害、視野障害又はその他の障害に区分します。
(1)視力障害
(2)視野障害
(3)その他の障害
(4)視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻輳(ふくそう)機能障害、まぶたの運動障害眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合には、併給認定の取扱いを行います。
社会保険労務士
内 山 修
うちやま おさむ
北海道池田町出身
1968年生れ
北海道中川郡池田町で生れ育ちました。 昭和63年に公務員となり、社会保険庁に入庁し、障害年金等の年金審査業務に携わっておりました。
困っている方のお役に立ちたいと思い、平成23年に社労士の資格を取得。「相談して良かった!」と言って頂けるサービスや信頼関係を築き、一人でも多くの方が適正な等級で 障害年金を受給できるよう、親身になってご支援いたします。