B輔さんは、51歳の営業部長です。胸やけを感じて病院を受診したのは、平成22年1月のことでした。
取引先との接待が昨年の年末から続いていたため、「胃が疲れたのだろう」くらいにしか考えていませんでした。多忙を理由に、ここ数年間会社の健診も受けていません。
会社近くの病院で、胃の薬を処方してもらおうと軽い気持ちで受診したのですが、医師から念のため、内視鏡検査を勧められ、日を改めてしぶしぶ受診しました。
結果、かなり進行した胃がんが発見されました。リンパ節にも転移しており、すぐに手術の検討が始まりました。内視鏡手術ではなく、開腹手術の説明を受けました。
その後、入院し検査する中で、十二指腸、すい臓、胆のう、肝臓も一部切除する大手術となりました。
B輔さんは、術後6ヶ月での職場復帰を考えていたのですが、体力の低下により、とても動ける状態ではなく、8ヶ月目にやっと復帰できました。
しかし、体力の衰えなどから風邪をひいてしまい、再入院することとなりました。
退院したものの、すっかり体力が落ちてしまったB輔さんは、職場復帰ができなく、自宅療養を余儀なくされました。
その後、職場復帰を目標に治療をしましたが、家族の目からはまだまだ復帰は難しく見えたようです。周囲からも退職を勧められようになり、自分でも職場復帰は無理かもしれないとは考えてはいたようです。
現在は、会社を退職し自宅療養をしていますが、体力の衰えにより、日常生活における身の周りのことについて、多くの支援を必要としています。
奥さんが、不安そうに相談に来られましたが、がんであっても障害年金の申請ができることを説明すると、「ホッ」とされていました。
初診日は、平成22年1月で、障害認定日は、平成23年7月となります。
初診日において厚生年金保険に加入中であり、直近1年間の納付要件で問題無いと判断しました。
認定日請求(さかのぼり請求)が可能ですので、診断書を2部作成することを提案し、障害厚生年金として請求しました。
B輔さんと奥さんから、現在までの症状や日常生活の状況をヒアリング(約1時間半)し、病歴就労申立書を作成。
医師に診断書の作成を依頼して、出来上がるまで約3週間要しました。
また、面談・電話による打ち合わせは、計4回(約3時間程)行い、最初のご相談から年金の申請まで、約2ヶ月を要しました。
ご相談(初回のご相談は約1時間半) 面談により発病から現在までの状況をヒアリング |
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病歴・就労申立書の作成(約1週間で作成) 面談でヒアリングした内容を時系列にまとめ書類を作成 |
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診断書の作成依頼(約3週間を要しました) 医師に作成依頼 |
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他の書類の整備・書類の取得 請求書等の記載と住民票等の取得 |
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年金事務所に請求書の提出 申請後、約2ヶ月で年金証書が届きました |
年金の申請を行ってから約2ヶ月で年金証書が届き、障害認定日までさかのぼって障害厚生年金の2級に該当しました。
また、さかのぼって年金が決定されたため、1年6ヶ月分(約180万円)を、一括で受け取ることができました。
悪性新生物による障害については、次のとおりです。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定します。
一般状態区分表区分 | 一般状態 |
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
3級 | 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
社会保険労務士
内 山 修
うちやま おさむ
北海道池田町出身
1968年生れ
北海道中川郡池田町で生れ育ちました。 昭和63年に公務員となり、社会保険庁に入庁し、障害年金等の年金審査業務に携わっておりました。
困っている方のお役に立ちたいと思い、平成23年に社労士の資格を取得。「相談して良かった!」と言って頂けるサービスや信頼関係を築き、一人でも多くの方が適正な等級で 障害年金を受給できるよう、親身になってご支援いたします。